アート・デザイン
【連載】ジャズベーシストが語る「超私的JAZZのはなし」②ジャズをもっと楽しく聴くために
コンサートに来られるお客様の中にはジャズに興味はあるけれど、どう聴いたらいいのかわからない、という方がいらっしゃいます。
聴き方なんてなくて、好きに聴いて貰えばいいのですが、私たちが何をどのように演奏しているのか、が少しわかると、もっと聴いていて楽しくなるかもしれません!
いろんなタイプのジャズの演奏がありますが、多くの場合、次のように演奏しています。
☆最初のテーマ(メロディ)の演奏
たとえば、「枯葉」を演奏するとします。枯葉は32小節の曲ですので、32小節、まずメロディを演奏します。
☆それぞれのアドリブソロ
次に「即興でソロ」を演奏します。曲は「メロディ」と「コード」でできています。そのコードに基づいて、演奏者それぞれがソロで好きに即興演奏をし、続けていきます。32小節を何回か繰り返し演奏しています。
(*生演奏の時、各自のソロが終わったときに拍手などをいただけると、場がすごく盛り上がります!)
☆たまに掛け合い
全員がソロを演奏した後、「ピアノ(4小節)➝ドラム(4小節)➝サックス(4小節)➝ドラム(4小節)➝ピアノ(4小節)➝ドラム(4小節)」などの掛け合いをすることもあります。
☆終わりのテーマの演奏
最初に演奏したメロディをもう一度演奏します。
前回、ジャズの特徴は、「スイングというリズム」と「即興」である、というお話を少し書きました。この「即興」という部分がジャズの面白いところだと思います。即興演奏だから何を演奏してもいい、というわけでもありません。間違った演奏、というのは存在しないとは思いますが、聴いていて心地よい、かっこいい、と感じる即興演奏をするには経験と、ジャズに対する深い理解、コードの解釈、など様々な要素が必要だと思います。
例えば「枯葉」を演奏する、と決まっていてもどんなふうに演奏するかは決まっていないことも多いです。同じ曲を演奏しても、メロディの演奏の仕方も違えば、テンポも人によって違います。
「この人はこんなふうにメロディを演奏するのか〜」とか、もうちょっと上級リスナーになると、「ピアノの人はこんな解釈で弾くのか」など、いろいろ聴き方、楽しみ方も増えてきます。
私もジャズを聴き始めたころは何を演奏しているのか正直よくわからなかったですが、今となっては聴きながらなるほどとニヤニヤすることもしばしば。
もちろん、演奏しながら、他の人の演奏にニヤニヤすることもあります。
始まってから相手が何をどのように演奏するのか、はたまた、自分がどう演奏するのか、白紙です。演奏しながらお互いの演奏を体で感じ取り、素早く音にする。その日の体調とか、感情の変化、お客さんのエネルギー、様々な要因で、演奏内容は全く違ったものになる。
これがジャズの一番の楽しみだと思うんです。
コロナ禍でなかなかコンサートもできない状況が続いていますが、また賑やかにコンサートが出来ますように!
若林美佐Misa Wakabayashi
大阪生まれ、奈良育ちのジャズベーシスト。2017年、結婚を機に鶴岡市に移住。あちこちで演奏しています。令和元年5月には夫とともに「食堂 アルペジォ」をオープン。お店でも時々ジャズライブを開催しています。