Gradle Plus

MENU
HOME記事一覧暮らし・ライフスタイル
【連載】四十路のハイジ 第14回
山の水事情

暮らし・ライフスタイル

【連載】四十路のハイジ 第14回
山の水事情

2020/09/29

恐怖の強風

今年は例年より台風が少なく影響はないほうだったのですが、昨日は温帯低気圧に変わった台風12号の影響で山小屋にいるというよりは、乱気流の飛行機の中にいるような感じでした。久々に主人も落ち着きがなくなるほどの強風で、主人にとっては強風そのものよりもその風で山小屋の設備がやられてしまう事が恐怖のようです。

特に発電機は作動させていると壊れる可能性があり、お客様もいなかったので日中から電源を落としました。電気がつかなくて困るのは私ハイジ、繁忙時間以外はノートパソコンを使って自分の仕事をしているためです。しかしノートパソコンはバッテリー内蔵なので、こんな時には据え置き型よりも便利です。そしてバッテリーが切れる前になんとか仕事を仕上げないと!と作業も捗る次第です。

9月に入ると佛生池の中で産まれたクロサンショウウオ達が越冬のため山に帰っていきます。
毎年だいたい野鳥が1羽は小屋の中に迷い込んできます。
今年はアサギマダラが沢山やってきて楽しませてくれました。

雨つづきからの日照り

今年は出だしの7月から8月のお盆頃まで雨・雨・雨の雨続き、青空を見たのは数えても片手におさまるくらいの回数でした。晴れない日が続くのは月山だと珍しくないこと、しかしお盆明けから2週間以上、雨が全く降らない日が続いたのです。登山の皆さまにはうれしい天気ですし、晴れればお客様もいらっしゃるので私たちもうれしいのですが恐ろしいカウントダウンが始まります。

山の水

8合目駐車場から山頂に至る登山道には水場がありません、湯殿山方面に下ると沢もありますがそれ以外の登山道には汲める水や湧水もないのです。山小屋の水はどうしているかというと、まずは雨水を貯水し浄化して利用しています。雨水が足りなくなりそうになると、雪渓の雪解け水をエンジンポンプで小屋まで汲み上げるのです。

しかし8月中頃には雪渓も無くなるので雪解け水もありません、そうなると本当に雨頼みなのです。例年8月には夕方にスコールが降ることも多いので、夕方だけでも!、お客さんが寝ている夜だけでも雨が降らないかと期待しましたが1ミリたりとも降りませんでした。雨水の貯水タンクはMAXで2トン入り、表から見るとどこまで水が溜まっているのかうっすら分かるのですが、その水位が日に日に底に向かって行きました。水がなくなると一番困ることはお客様にお出しする料理を作れなくなること、そうなると営業ができません。ペットボトルの水は、販売用以外には少ししか用意がないのです。

小屋の裏手に設置してある雨水の貯水タンク。年季が入っています。
雨どいを通してタンクの中に水が溜まっていきます。

恵みの雨やっと

2週間の日照りの後に、やっと雲行きが怪しくなりぱらぱらと雨が降り出しました。「来た!雨!、やっほ~!」と狂喜乱舞です。しかし直ぐ止むかもしれない雨、踊っている場合ではありません。小屋に降り注ぐ雨は雨どいを通り貯水タンクに流れ込みます。しかし底をつきそうな程空っぽの貯水タンクが満水になるとは限らないので、ハイジはありったけのたらいやバケツ、20L入るポリタンクを表に出すという原始的な雨水集めを始めました。少しでも多く雨水を確保せねばという不安の表れだったと思います。

この日の雨は直ぐに止んでしまい、貯水タンクの10分の1も増えませんでしたが、営業を続ける希望につながりました。不安な日々は少々づつきましたが、その後土砂降りがきて夢の貯水タンク満水の日を迎えることができました。満水どころか溢れ出したので、そんな時にはポリタンクに水を貯めたり洗濯三昧に入ります。山小屋は本当に雨頼みの生活なのです。しかし雨水は本当にありがたい、里の家でも雨水貯水したいくらいです。

屋根から滴る水滴も貴重。洗面器にためては大きなバケツに移していきました。
水滴を見つけると気になって仕方なくなり、屋根の端にビニールを取り付けてバケツに集めたり、ポリタンクの口にじょうごをさしてみたりもしました。

今年のハイジ生活も残り数日

温帯低気圧に変わった台風12号により、就寝した頃には暴風域の中でしたが、夜中のうちに静かになりました。その静けさが余計に際立ち、珍しく夜中に目覚め今真っ暗い中このコラムを書いています。今年は山の上も暖かかったせいで紅葉が1週間遅れており、もうそろそろ始まる頃です。夜が明けたら山小屋の裏手にあるオモワシ山が真っ赤になっていますように。

朝起きてオモワシ山を撮影。やっと紅葉が始まったという感じです。佛生池小屋付近の紅葉のピークは29日くらいか?

この記事を書いた人
風間 重美

Kazama Emi

東京の海抜0メートル地帯で生まれ、40歳で鶴岡へ単独Iターン。月山が開く夏の間は、嫁いだ主人の営む月山佛生池山小屋へ移動し山で暮らす四十路のハイジ。本業はイラストとデザイン、夏の間は標高1,745mからデータ送信しています。

Cradle 最新号
クレードル旅行倶楽部
ONLINE SHOP
サポーター募集