暮らし・ライフスタイル
【連載】日々是好日⑥〜毎日の仕事に感謝して
今住んでいる場所や人、環境に感謝をし、その中で自分に出来る事は何かを考えて日々精一杯生きていくことが出来ればどんなに楽しいだろう、そう思ってこの先もずっと過ごしていきたいと思っています。
孟宗が終わり、山菜もそろそろ無くなるこの頃。毎日の慌ただしい山菜の下処理からも開放され少しだけホッとします。
昨年あたりから孟宗や山菜がプレートに並ぶ季節はお客様の層が少し変わり、私よりも年上のお客様がぐっと増えるようになりました。蕨のたたきや孟宗の味噌粕煮など郷土料理を楽しみに来ていただいているようで、「懐かしいなぁ」「ホッとするの〜」とおっしゃって笑顔で話しかけていただくのがとても嬉しいです。
先日、宅配を頼んでいる農家さんがメロン子をたくさん持ってきました。けんちんや浅漬けでお客様にお出ししてもまだまだありそうなメロン子。作ったことはなかったのですがいい機会だと思い辛子漬けにしようと思って、その農家さんにレシピを聞き早速漬けてみることに。
辛子漬けが出来上がるまでの数日間、お店ではけんちんや浅漬をお出ししていました。するとお客様の多くが食事をしながらメロン子の話をしているのが聞こえてきます。帰り際に、「けんちんもうめなだの〜」、「浅漬けさもでぎるなだの〜」「うちの辛子漬けのレシピはの〜」などなどと話しかけていただき、メロン子談義で初めて会ったお客様と盛り上がり、「まだくるの〜」とおっしゃっていただいたりします。
今、追いつけないようなスピードで世の中が進化し情報過多に溺れそうになり、付いていくのが精一杯な毎日。そんな中、ふと本来の自分に戻れる食事やホッとする料理は自分のためにも、たくさんあるお店の中からdaybydayを選んで来てくださるお客様のためにも無くしたくはないなと思います。
また、私よりも若い世代のお客様からは「初めて食べたけど美味しかった」と帰り際に言っていただいたりと食材や料理のお陰でお客様とのコミュニケーションが生まれ、同時に郷土料理の味や在来野菜の存在も知ってもらえるのも、本当にありがたいし幸せな仕事だなと思います。
変わっていかなければならないもの、変わってはいけないものを毎日の暮らしの中で自分なりに見つけ、それらを大切にしながらこれからも仕事をしていきたいと思っています。
写真/土田貴文
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長南みゆきChonan Miyuki
食生活の管理不足が原因で体調を崩し、東京よりUターンした後、家の食事で体調が戻り食の大切さに気づく。2003年に母と農家レストラン「知憩軒」を鶴岡市の自宅で開業。2017年独立し酒田市に「daybyday」開業。庄内の野菜をベースにした郷土料理、日常料理を提供している。