暮らし・ライフスタイル
【連載】ほぼ季刊「庄内里山わぐわぐlog」 獅子舞ど、さんど小屋ど、庄内弁の授業ど、雪まづりど。
どうも、もっけです。酒田市八幡地域大沢地区で、集落支援員と合同会社COCOSATO代表として里山エンターテインメントを標榜する阿部彩人です。2024年の年明け早々、元日に発生した令和6年能登半島地震、大変驚きました。被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
私の実家がある酒田市北平田地区の漆曽根1区では、地震の翌日である1月2日に行われる獅子舞巡幸の開催について協議されましたが、まずは庄内では大きな被害が出ていない状況ということで、自治会長さんのご判断もあり予定通り開催されることになりました。コロナ禍が明け、実に4年ぶりに各家々を回る獅子舞巡幸となり、村中安全、身体堅固、交通安全、合格祈願などを願って実施いたしました。まずは、1区公会堂に住民の皆さんが集まっての平舞と十二段の後、ご希望の家々を回って行われた巡幸。
今回始めて獅子頭に入っての舞手を務めた新人H君は、初めてとなる民家での平舞で、照明に獅子頭のアゴをぶつけるというシーンもありましたが、このような経験を通して、獅子舞の舞い方を覚えていくものだと思います。
やはり、家々を回っての獅子舞巡幸は、地域にとって「よだ」(必要だ)なだど、改めて感じました。今回は、私は撮影に専念させていただきましたが、来年は獅子頭に入って舞いたいという思いも新たにしました。今回の巡幸の様子は、動画でYouTubeにて公開しておりますのでご覧ください。
▼YouTube:4年ぶりの獅子舞巡幸。(2024年1月2日)山形県酒田市 北平田地区 漆曽根1区にて
1月6日は、酒田市八幡地域大沢地区・山添で、毎年恒例の伝承行事「さんど小屋」が行われました。巨大な円錐型の小屋を作り、その日の夜に燃やし尽くす、村中安全、火災除け、五穀豊穣、無病息災を願う行事です。山添の住民曰く、全く雪の無い中での開催は、生まれて初めてだったとのこと。
清流・荒瀬川のそばで、お昼過ぎから住民が集ばり、近くの山から切り出した竹を骨組みに、茅で作られた簾を巻いて、1時間あまりで完成した小屋。その中で焚き火をして団欒をします。いつもは雪で階段を作るのですが、今回は雪が無いので地面の土をスコップで整えて階段を作っておりました。夜18時半ごろからまた集ばり、小屋の中で焚き火を囲んで御神酒を酌み交わし、餅を焼いて語り合います。雨が降る中、20時ごろからの火入れでしたが、これまで見た中でも特に良く燃え上がりました。
山添では江戸時代以前から続いてきたこの伝承行事「さんど小屋」。その昔、一度開催しなかった年があったのですが、その年に集落の民家で火事が発生してしまい、その翌年以降は欠かさず毎年開催されているとのこと。八幡地域では大沢地区の他にも、日向地区の一部の集落でも1月に開催されております。
▼YouTube:【庄内の伝承行事】「さんど小屋」巨大な小屋を建てて、その日の夜に燃やし尽くす、火災除け、五穀豊穣、無病息災を願う行事。(2024年1月6日撮影 山形県酒田市八幡地域 大沢地区・山添)
1月30日は、酒田市・八幡小学校5年生の国語の授業で、『庄内弁どご「おもしぇぐ」学ぼう!』ということで、臨時講師として山形県庄内地方の方言をお教えする機会をいただきました。担任の本間先生からのご依頼で実現したこの授業。「酒田方言あそび研究会」代表の齋藤健太郎さんが作成した資料なども活用させていただきながら、庄内弁が様々な地域の言語の影響で成り立っているというお話もいたしました。
大沢地区のネイティブ庄内弁スピーカーである、じょんざぶろの後藤トミ子さんと、大沢コミュニティ振興会の後藤正一さんも発音指導のゲスト講師としてお招きし、「し」と「す」の中間の発音指導や、「寿司」(すし)「獅子」(しし)「煤」(すす)の発音の見本もしていただきました。「庄内弁力 強化プリント」の問題集も作成して5年生に取り組んでいただきましたが、正解を半分以上わかった子も。
普段は標準語に近い言葉をしゃべっている子どもたちですが、水に濡れて気持ち悪いときには「やばち」を使う子が大半だったり、酒田、八幡、秋田の、「さがだ」「やわだ」「あぎだ」などの濁点の付け方やイントネーションも完璧だったり、やっぱり庄内の子だの〜って思って嬉しくなりました。会話の文章を庄内弁に翻訳するという、最後の問題の模範解答は、私と本間先生で実演いたしました。
庄内弁は世界で、こごさしか無い言語であり、庄内人が大切にすべきオリジナルの文化です。今回の授業の様子は動画にもまとめておりますので、以下のYouTubeにてどうぞ。
▼YouTube:方言どご「おもしぇぐ」学ぼう!山形県酒田市・八幡小学校5年生の国語の授業で、庄内弁の講師として方言を伝授しました。(2024年1月30日)
▼授業中にご紹介した、大沢地区で撮影した庄内弁ドラマ「んめちゃ!~LOCAL HEROES~」はこちら。
【庄内弁ドラマ】んめちゃ!~LOCAL HEROES~ – 大沢で、大さわぎ。(ロケ地:山形県酒田市大沢地区、出演:白崎映美、鈴木ナナ子、大沢清流太鼓、大沢住民の皆様ほか)
2月4日には、大沢コミュニティセンターにて、八幡小学校6年生が企画・運営し、大沢地区・自治部会と教育文化部会が主催する『わぐわぐ!大沢「大」雪まづり2024~雪で体もこころもポッカポカ~』を開催しました。
記録的な雪の少なさに心配が募っておりましたが、直前の積雪によりグラウンドには約20cmの雪が残り、なんとか全ての企画を外で実施することができたミラクルにも感謝。100人近くの皆様が集ばり、当日はお天気にも恵まれました。
1月11日と29日に6年生が大沢コミセンに来訪し、住民と一緒に行ったワークショップと打ち合わせを経て数々の企画を検討。
話し合いの結果、スノーモービル、雪上 宝さがし・バナナ早食い競争、雪玉 的当てゲーム、アイスクリン作り体験、そりすべり&かんじき履き&野菜スノーフラッグリレーを行うことになりました。大沢の皆さんが体育館から落ちた雪を除雪機やトラクターでかき集めての巨大かまくらなども制作。
当日は、6年生の皆さんの司会進行から各企画の説明や運営も素晴らしく、保護者さんや大沢地区の住民の皆様にもご協力いただき、ひとつのチームとして、とてもいいまづりを作ることができました。
6年生の皆さんは、大沢住民の皆さんと一緒に何度も打ち合わせをしての企画・準備・当日運営と、よいでね(大変な)思いをした部分もあったと思いますが、当日の皆はとにかく真っ直ぐで一生懸命で、楽しさに満ち溢れていました。大変さを乗り越えて自分に返ってくる、イベントを作る満足感や達成感、参加者の皆さんのたくさんの笑顔を見ることができる喜びなど、たくさんの素晴らしさを感じることができたのではないかと思います。3月には卒業して、4月から中学生になる皆さんの今後にも期待大です。
2月8日には、4年ぶりのリアル開催となる、「令和5年度 酒田市 地域おこし協力隊&集落支援員 活動報告会」。ひらたタウンセンターのシアターOZにて開催しました。約80名様がご来場ということで、過去最高の参加人数だったそうです。任期3年目の八幡地域大沢地区の集落支援員・阿部彩人と、松山地域内郷地区の協力隊・土田克利さん、平田地域田沢地区の集落支援員・齋藤志保子さんは、最後の活動報告となりました。 私・阿部彩人は、協力隊と集落支援員で合計6年間の思いが溢れすぎて、20分の予定が約40分の長編となってしまいました。
協力隊1年目の八幡地域観音寺地区・梅津豊さん、飛島・粕谷玲緒さんは初の報告会でしたが、1年目からの素晴らしい活動、今後が楽しみです。
アーカイブの動画をYouTubeにアップいたしましたので、当日いらっしゃれなかった方もぜひご覧ください。
▼YouTube:令和5年度 山形県酒田市 協力隊&集落支援員 活動報告会(アーカイブ動画) 2024年2月8日 会場:酒田市ひらたタウンセンター シアターOZ
また、昨年2023年10月に酒田市八幡地域の鳥海高原家族旅行村で開催された芸術祭「庄内 風と土の美術館」のダイジェスト動画を、YouTubeで公開いたしましたのでぜひご覧ください。今秋には小規模なイベントを開催予定です。
▼YouTube:芸術祭「庄内 風と土の美術館 〜アート&マルシェ〜」2023/10/21、22開催 ダイジェスト動画
来る2024年3月16日(土)には、合同会社COCOSATOが総合コーディネート・制作・運営を行う、酒田市主催のオンライントーク&交流会「酒田暮らしを、ゆる〜ぐ語ろう!」の、今年度最後の回が開催されます。
今回のテーマは「移住者に聞く!酒田での仕事の探し方&作り方」。ゲストに、2023年より首都圏から酒田市の移住交流拠点施設「TOCHiTO」に移住された、藤田篤子さん、猪股順子さん、代田佳子さんのお3方をお迎えして、さまざまなお話を伺います。Zoomでのオンライン開催で参加は無料です。地方での暮らしや、庄内や酒田での移住者の活動に興味がある方、地方への移住について少しでも考えている方、どなたでも大歓迎ですので、ぜひお気軽にどうぞご参加ください。
▼参加申込はこちらのフォームから
http://tiny.cc/sakataonline_r5
※申込締切:3月11日(月)まで
今後も、この庄内に暮らしながら、鳥海山と庄内平野をはじめ、八幡地域の里山で諸行無常な日々の景観と食や文化を楽しみながら、さまざまな活動をお伝えしていきます。今後ともよろしくお願いいたします。
▼阿部彩人関連のSNS・Webサイト等のリンク集
https://linktr.ee/ayateck
阿部彩人Abe Ayato
1980年山形県酒田市生まれ。高校卒業後進学で上京、都内のWeb・エンタメ業界へ就職。2018年より酒田市八幡地域・大沢地区地域おこし協力隊として活動。以後、当地にて合同会社COCOSATOを起業、集落支援員として地域資源を生かした特産品作り、里山体験、庄内や酒田の魅力を伝えるサービスを行っている。