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【連載】四十路のハイジ 第16回
雪の月山、初登頂

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【連載】四十路のハイジ 第16回
雪の月山、初登頂

2021/05/14

社会科見学

今月で移住して丸4年が経ちました。そこそこ月山にも詳しくなってきたと思われているかもしれませんが、まだまだ全くの素人です。去年の夏山が終わった後、頂上までは行きませんでしたが初めて姥沢の登山口から姥ヶ岳まで登りました。それまで姥沢の登山口に一度も行ったことがなく、山小屋でお客様に姥沢のリフトの事を質問されるたびに主人に聞きに行き、それを棒読みのようにお客様にお伝えしていました。姥沢のリフトを見たことも行ったこともないことは4年間黙っていたのです。

そろそろそれでは良くないと、去年の秋以降月山の各方面に社会科見学をしに行きました。姥沢の登山口見学に次いで、後日肘折ルートも見学に。この時も頂上には行きませんでしたが、念仏小屋泊をして念仏ヶ原まで行ってきました。そして、この4月に念願だった雪の月山に行くことになったのでした。

リフト上駅から広がる真っ白な世界。目を凝らすと人が写っています。
同じく秋のリフト上駅からの風景。
秋の念仏ヶ原。この日はここから月山頂上付近の初冠雪を見ることができました。

いざ雪の月山へ!

姥沢のリフトは毎年4月10日頃から営業が始り、そこからが本格的なオープンとなります。山好きの猛者はいかなる時期にも山に向かいますが、ここではお勧めいたしません(笑)。雪の時期は危険を伴うので、天候が良い日を狙います。私たちが予定した4月22日の予報は晴天でしたが、風速が20m以上とのことで行ってみないとどこまで登ることができるのか判りませんでしたが、予定通り向かいました。志津の駐車場に到着すると時折風が吹きましたが、穏やかな天候で安心しました。

駐車場から朝日連峰を眺めるだけでお腹いっぱいになる美しい眺望。
風が強いと運休になるリフトも無事運転していました。
リフト上駅に到着。これだけでも大満足。
この日の足元は登山靴に軽アイゼン。

どこまでも真っ白な世界

こちらに移住してからずっと雪のある時期に月山に行ってみたいと思いつつ、雪山は登るよりも里から眺める方が綺麗なんじゃないかと思っていたのも確かです。しかし、まずこの景色を目の当たりにして口に出たのが「なぜ、こんな凄いところに今まで連れて来なかったのだ!」でした。真っ白に広がる世界が、雪山なのか砂丘なのか分からなくなる程で、私の知っている月山とは思えずどこか異国に来たような錯覚に陥りました。雪に覆われ登山道は無いので、この白い世界を自由に歩くことができるのも贅沢だと思いました。

平日で人はまばら、登山者がまるで蟻のように見えて山の雄大さをより強く感じることができました。雪で足場が安定しないため、登りは脚に負担がかかり、時折滑走してくるスキーヤーを羨ましく思いながら頂上を目指しました。

真っ白な世界
変わらない風景を歩き続け、右の急な登りを超えると頂上が見えるとのこと。

雪の月山初登頂!

頂上手前の急な登りのあたりから、急に風が強くなりました。雪解けしている部分もあり、岩肌も見えています。こんなところで風に吹き飛ばされて転んだら大怪我です、慎重に歩みを運びました。吹き付ける風が冷たく辛い時間帯でしたが、急な部分の距離はそれほど長くはないので“登頂”というご褒美を鼻先にぶら下げた気持ちで頂上を目指しました。

頂上目前の芭蕉の句碑に、ずっと見てみたいと憧れていた通称「エビの尻尾」を発見。春になり小さくなっていたので、赤エビの尻尾といったところでしたが見ることができて心が満たされました。そして、無事に頂上に到着。雪に埋もれた月山神社を少し離れたところから拝みました。

その後は、お待ちかねのランチタイムです。風の弱い場所を見つけて壮大な雪景色を見ながらのお昼ご飯は、プライスレスな贅沢です。下りは楽しさと時短を兼ね、滑れるところはお尻で滑って帰りました。こんなに感動できる場所に出会えるなんて、庄内は本当に凄いところだと改めて思いました。「これは、毎年訪れたい!」と主人に宣言(リクエスト)して無事雪の山行を終えることができました。

皆さんにもこの美しさを実際に見て欲しいと思いました。登山に不安がある方でしたらリフトで上がって景色を楽しみ、またリフトで下がるだけでも十分感動を得られると思います。

晴天に照らされた氷が美しく光っていました。
通称「エビの尻尾」。
雪に埋もれた月山神社が現れた時の達成感は格別でした。
山で食べる、カップ麺はご褒美です。寒い中ではお湯の温度がすぐに下がる。麺の戻りの良さを考えると、雪山ではいつもお蕎麦をチョイス。
スキーヤーが板を担いで登頂してきた。さぞ大変だったことでしょう。
滑走の跡。大変な思いをしたからこそ、こんな気持ち良いところでを滑ることができる。

この記事を書いた人

Kazama Emi

東京の海抜0メートル地帯で生まれ、40歳で鶴岡へ単独Iターン。月山が開く夏の間は、嫁いだ主人の営む月山佛生池山小屋へ移動し山で暮らす四十路のハイジ。本業はイラストとデザイン、夏の間は標高1,745mからデータ送信しています。

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