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コラム

CradlePlusライターの特選コラム。ジャンルやテーマを問わず、魅力ある庄内のあれこれを掘り下げてご紹介いたします。

会えば心ほぐされる、嬉しい仲間2019/10/01

子どもと一緒に日々を過ごしていると、それまで気づかなかったたくさんの嬉しいことに出会ったり発見できたりすることに、いい歳の大人ながら無上の喜びを感じることがある。仕事も家庭も子そだても、家族ひとりひとりの頑張りや努力を束ねて全力で楽しみたいもの。さらにいえば家庭を越え、ご近所さんや地域ともともに暮らすしあわせな庄内が、子どもという存在をとおして培われていくことを願うばかり。

改めて〈Cradle(クレードル)〉を辞書で調べると、ゆりかご、文化などの発祥地という意がある。庄内をひとつのゆりかごと見立て、大事なものを庄内から育て発信したい。そんな本誌の思いも添えて、子そだてする人もそうでない人にもほんの少し、ゆりかごに揺られる子どもの目線になって読んでもらえたら幸いだ。この地域の魅力が、子どもとともに考えることによって違う角度で見えてきたら、こんなにも嬉しいことはない。

庄内のかぁちゃん3人がはじめた、種まき

理容師、水泳のインストラクター、医療事務。はじまりは、そんな肩書をもった3人の主婦だった。「NPO法人 明日のたね」代表理事の伊藤和美さんと、丹治亜香音さんに会いにゆくと、彼らの使命でもある<子そだてがもっと楽しくなる庄内地域を育む>ための〝種まき〟のお話を、愉快に楽しく、そして涙ありで話してくださった。

2010年から3人がそれぞれ、子そだて支援や自然体験、防災などの学びを重ねた末、 鶴岡市内の「長沼ともにひろば」を拠点に、2014年に活動がはじまった。防災士やネイチャーゲームリーダーなどの資格も得ている伊藤さんと丹治さん。訪れる人を受け入れ話を聞くという、一般的な支援にとどまらない活動への熱意が伝わってくる。

  1. 夏休み期間などを利用して小学生などを預かる「こども大学(楽)」や年に数回の自然探検学習会などの「地域体験や学びの事業」

  2. 未就学児の親子を対象に地域子育て支援拠点としての活動や女性の学びの場や機会を提供する「女性とこどもの支援事業」

  3. 地域の高齢者の体力向上を目的とした体操や世代間が集まる場づくり、他団体や施設などへの出前講座など「地域ふれあい交流事業」

  4. ウェブページ「TOMONI」の運営、年に4回の『TOMONI通信』発行など、彼らの全活動にまつわる「情報発信や広報事業」

庄内2市3町の子育て情報が掲載されているウェブページ「TOMONI」も、前職で携わったことから伊藤さんらが運営している。整理すればこれら4つが活動の大きな柱だが、活動の種類は多岐にわたる。

「普通の親の感覚で活動をしたいと思ってはじめました。私たちが仕事と子そだての両立で苦労したこと、この場所や催しごと、ウェブページTOMONIなど、どんなきっかけからでもいいので伝えていきたいんです。もっと届けなくては、と思っています」。

写真左:伊藤さん(右)と丹治さん(左)。2010年ごろからの活動の歴史を「成長の記録」と名づけまとめた用紙をもとに、話は尽きない。
写真右:市内長沼にある「長沼ともにひろば」は、旧長沼児童館。一時は使われていなかった建物が、いまでは笑いにあふれる多世代交流の場に。

すべては誰かを思う心と〝おたがいさま〟の気持ち

「明日のたね」の活動は、先述した使命<子そだてがもっと楽しくなるための、より楽しい社会(庄内地域)を目指す>という大いなるテーマに基づいている。主婦目線で〝やりたいこと〟を行なっているのではないし、対象は子どもや子そだて世代に限らない。昨年の活動には、0歳から88歳までの累計1500人が集ったという。やっぱり伊藤さんたちの活動は〝子育て支援〟とひとことで表現するのではとても足りないようだ。

取材に訪れたのは「長沼てくてくさんぽ&みんなdayごはん」の日。前夜から降り続いていた雨で集う人はいなかったのだが、到着したころには雨はすっかりやんでいた。取材のさなか、ありがたく「みんなdayごはん」のご相伴にあずかった。キッチンにはお裾分けでいただいた野菜や調味料があり、こういう催しの日は参加者が一品持ち寄ったりして(持ち寄らなくても○)、ひろばに残っているスタッフが調理して、みんなで食卓を囲むそうだ。この日はスタッフ・鈴木愛さんの手づくり。

「ラーメンをつくりにきてくれる近所のおばあちゃんもいるんですよ(笑)。私たちは、本当に人のつながりに助けられてやっています。たとえば、催しごとで地域のばあちゃんに子どもたちの面倒をみてもらったら、御礼におばあちゃんたちが喜ぶことをしたい。おかげさま・おたがいさま、の気持ちでいれば助け合っていける」。気軽な散歩で体を動かして世代間での交流がある。子どもがいなくたって、参加は自由。お昼を一緒に食べる人がいて、誰ともあわない一日を過ごさずにすむ。活動の4本柱はこうしてさまざまに組み合わさり、より豊かな機会になっている。

写真左:仕事の手をとめ、こっそりキッチンで昼食づくりしていた愛さん。足りなくなることを考慮してか、彼女自身はお弁当を持参していた。
写真右:いただきものキャベツに愛さんのご実家からのキクラゲ。地域のばあちゃんお手製鮭フレークに、みんなでつくった手前味噌のみそ汁。幸せの食卓。

NPO法人 明日のたね
鶴岡市長沼字宮前163(長沼ともに広場)
Tel.0235-64-8623

この記事を書いた人
本間 薫

本間 薫Honma Kaoru

鶴岡と新潟・村上市の境の集落に嫁ぎ、子そだてに嬉しい発見の日々を送る。九州と東京の2都市育ち、嫁入り直前の京都暮らしを恋しく思いながら、庄内の魅力を見つけて伝えたい(あわよくば自転車で)と願っている自転車アクティビスト、編集者・ライター。

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2019年11月号発刊

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    吉田サチ子 キルト作家
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