食・食文化
カフェeジェラート モアレ
酒田で愛されてきた青春の味
クレードル2019年5月号「Cradle’s Choice」に掲載した「カフェeジェラート モアレ」さんをご紹介します。
街中に子供たちがお小遣いを握りしめて買いに来れるお店をとスタート
今回お話を伺ったのは、2代目の菅野弘幸さん。お店は25年前、父親の信一さんが酒田市中町の商店街で空き店舗を活用する際に、街中に子供たちがお小遣いを握りしめて買いに来れるお店を、とスタートしました。
弘幸さんは高校卒業後バイク屋に就職、その後独立して販売や修理を行い、しばらくしてお店に関わるようになったのは30歳頃から。平成6年のモアレオープンから2年ほど経ち、お店が軌道に乗り始めて忙しくなりそうだな、と感じた時期だったそうです。弘幸さんが関わってからは、地元食材を使ったジェラートを次々と発売するようになります。
9年ほど前に現在の店舗が空いたため移転し、その後ランチの提供も開始。料理は独学で、以前は酒田駅前で「ChiChi」というパスタ屋をやっていた時代もあるそうです。小学生の時から家族の麺類料理担当だった弘幸さんは、中学校の卒業アルバムの後ろにレシピを書いていたとか。その頃から食べ物への興味がうかがえますね。
普段使いのジェラート屋
「うちのアイスのコンセプトは、一見のお客さんだけがお客さんじゃないということ。月に何回か通ってくださるお客さんがいるから、そういう方のことを考えて作っています。インパクトがほしいだけならば、もっと濃い味でもいいんです。でもそういうのばかりだと、地元の方が来なくなるでしょ。普段使いのジェラート屋として地元に密着してやっていくためには、味付けも含めてこういうバランスになるのかなって」と弘幸さん。
最近は以前よりも高校生が少なくなったそうですが、学生だったお客さんがママになり、子供を連れて来てくれたりも。
「新しいものを開発するのは楽しいというか、苦しくはないですね。子供の頃に食べた最中アイスのイメージからヒントを得た、トウモロコシのジェラートも人気がありました。いろいろ試して評判が良ければ嬉しいし、自信を持って作ったものでも人気がなくてすぐに引っ込めたり」と楽しそうに話します。
今まで試したフレーバーは数知れず。野菜なら人参、芋いろいろ、だだちゃ豆、キャベツ、ビーツ、ルバーブ…。米だけでもはえぬき、つや姫、雪若丸、女鶴もち…。
「商品化の方法は、最初はどれだけの量の材料をブレンドしていくかですね。何パーセントくらい入れればこういうバランスになるなって予測がついて、その上で加減して糖度を決めて。アスパラの味がとけこんでいるとして、糖度が低く風味が出てこなければ、砂糖を足すことで味がはっきりしてくるとか、そういう微調整をやりながら決まっていきますね。スムーズに商品化できる材料もあれば、何回やってもうまくいかない材料もあって、そういうのは淘汰されてメニューにはもうないわけ」。
時折冗談を交えながら和やかに話す弘幸さんですが、ジェラート作りに取り組む真剣な姿勢を垣間見ることができました。
「今回のアスパラジェラートには、みずみずしい地元産アスパラガスを使用しています。ジェラートの素材は、“この時期になるとこれがおいしい”というものを使いますね」。6月以降は地物のフルーツや野菜のジェラートが続々登場。秋は新米のジェラートやおはぎを出した時も。2月になれば数種類のチョコレートフレーバーの味比べもできるとか。
ここに来れば、おいしく味わいながら季節を感じることができます。ぜひ、ジェラートで旬の味を楽しんでみてはいかがでしょうか。
お店の一角には、懐かしのフィルムカメラが。
今回ご紹介した「モアレ」さんは、Cradle 2019年5月号「Cradle’s Choice」(P20-21)に掲載していますので、あわせてご覧ください。
(Cradle編集部)
カフェeジェラート モアレ
山形県酒田市中町1-7-18
無休
Tel.0234-22-5280
Cradle編集部Cradle Editors
庄内の魅力を発信する、出羽庄内地域文化情報誌「Cradle(クレードル)」を隔月で発行。庄内に暮らし、庄内を愛してやまないメンバーたちの編集チームです。