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クレードルインフォ++(ぷらぷら)
「ぷらぷらと軽やかに、会いたい人に会いに行く①」
書家・齊藤千加子さん ++ 陶芸家・中村知美さん

アート・デザイン

クレードルインフォ++(ぷらぷら)
「ぷらぷらと軽やかに、会いたい人に会いに行く①」
書家・齊藤千加子さん ++ 陶芸家・中村知美さん

2021/05/31
墨と土、書と陶芸

「筆文字工房」(酒田市山居町)を主宰する書家の齊藤千加子さんと、「陶中村」(鶴岡市大山)の陶芸家の中村知美さんが、6月に初めての二人展「墨と土展」を開催します。
墨と土、言葉と静物の組み合わせにとどまらない“共作”となる今回、展覧会を前にお話をうかがいました。

――「墨と土展」というタイトルは、それぞれの作品への敬意と、創作の自由度の高さを感じます。


中村 テーマを設けず、千加子さんがお互い自由につくったものを合わせた方が面白いんじゃないかと言ってくださって。それぞれの素材で自由にやりましょうという形になりました。
齊藤 もともと知美さんの作品の手びねりの風合いが好きで、ぜひ自分の書と一緒に飾らせてほしいと声をかけました。知美さんの型にはまらない作風というか、器にもオブジェにも何にでも見える自由さが魅力的で。知美さんが何を作っているかは搬入まで分かりませんが、そのライブ感も、どんな反応が起こるかも含め、面白くなる確信があります。


――お二人はどんなふうに作品をつくられていますか。


中村 直感でつくるようにしています。ぱっと思い浮かんだ形があって、あとはその時の土に合わせてつくりますね。だから千加子さんの習字の教室に伺った時、書道は「道」という基本があって、それは私にはないところだなと感じました。
齊藤 基本の書法があって初めてさまざまな表現ができていくと思っていて、基本は大切にしていますね。今回も木工作家の桑原信之さんから額を作ってもらいましたが、その額に合わせて伝えたい言葉を選ぶのが今はとても楽しくて。一つ一つの額に手仕事の深い味わいと力強さを感じて、自ずと濃墨で表現することが自分の中でしっくりきています。


――書道は「道」で、陶芸は「芸」、どちらも技術に創造が加わるという共通点がありますね。


齊藤 基本は大切ですが、そのまま作品にしても楽しくない。だから私のは書道ではなく「書」。書くことはアートだと思っています。だから絵やパッチワークと同じように、誰かの生活の中に書を置いてほしいんですよね。私の字はどんな流派にも属さず、どこか拙いかもしれないけれど、子どもたちにも「読める書」です。お部屋にさりげなく飾ってもらって、目にとまった時に言葉から何かを感じてもらえるようなものになればいいなと思って書いてきました。


中村 私の場合は、蓋物でも花器でも使うことを目的としない形が最初にあるんです。手に取った方がどんな反応をするのか楽しみたいところもあって。これは何を入れるの?という面白さというか。器に小さな隙間や穴があると人は何か入れようとする、その反応も面白くて。私が発想したものがあって、見てくれた方の反応を見て、またそこから作品が広がっていきますね。


齊藤 理由とか何のためにとかじゃなく、本能的に作る。


中村 そうですね。何かに感動して形にするとかではないんです。千加子さんとあんなことを話したなとか、あの場所であんなものを見たなとか、全部が自分の中で合わさって、処理できないまま手を動かしていく。自分の中で感じていることをできたもので確認するのが好きで陶芸を続けてきました。言葉で表さない、言葉はいらない感覚の自分が、言葉の人である千加子さんと一緒にやるなんて面白いし不思議です。


――“言葉の人”である千加子さんは、ご自分や他の方の言葉をあたため、熟成させて、2年に1度の作品展に向かうと以前話されていましたね。


齊藤 私はじっくりと言葉を紡ぐ時間が好きで、それはいつも冬なんです。暑い時は気持ちが外に向いてしまうけれど、冬の間、家にこもって書くと言葉が凝縮するというか。私にとって季節感はすごく大事ですね。
中村 こもるといっても内にこもるわけじゃなく、自分でためてきたものを出す冬なんですね。


――今回は、千加子さんが新作、知美さんが新旧作織り交ぜての出展だそうですね。共同制作された作品はありますか。


齊藤 知美さんから陶板を焼いてもらって、そこに書いた作品があります。
中村 陶板に直接墨で書く発想がなかったのでびっくりしました(笑)。


――お話を伺っていると、墨と土展というタイトルは見る人に自由を与えていると感じます。誰かにとっては、千加子さんの墨の言葉は多くを語らず、知美さんの土の感触が饒舌に語りかけてくるかもしれない。素材を主役にして、見る人にどう伝わって、どう触れるかという楽しみがありますね。


中村 私は今回一緒にさせてもらって、千加子さんの書き方、言葉、作品展の運び方もすべて、そのセンスとアンテナを信じきってまかせてきました。始まってみないと、本人たちもどうなるか分からない面白さがありますね。
齊藤 知美さんの手で作ったものがあるだけで、私の書も空間もずっと豊かになると思って、今はすごくワクワクしています。誰かと一緒に作品展ができるのはとても幸せなことです。

撮影協力=マリーン5清水屋

「墨と土展」

2021年6月10日(木)~27日(日)

マリーン5清水屋 4階 ミュージアム

10:30~18:00(最終日は16時まで) 火曜定休

入場無料

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齊藤千加子さんの 筆文字工房

酒田市山居町2-4-22

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中村知美さんの 陶中村

鶴岡市大山2-38-33

10:00~18:00 不定休

hayota.stores.jp

 

この記事を書いた人
Cradle編集部

Cradle Editors

庄内の魅力を発信する、出羽庄内地域文化情報誌「Cradle(クレードル)」を隔月で発行。庄内に暮らし、庄内を愛してやまないメンバーたちの編集チームです。

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