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庄内ふむふむふむ3「遊佐町の湧水」
酒田西高校 生徒取材

自然・風景

庄内ふむふむふむ3「遊佐町の湧水」
酒田西高校 生徒取材

2026/02/06

今回の舞台は、日本百名山の1つ、 鳥海山が聳え立つ庄内の北端、遊佐町。「湧水の里」とも呼ばれるこの町で、湧き水はどのように活かされているのか。遊佐町鳥海山ガイド協会の畠中裕之さんに町を案内していただきながら、お話を伺いました。

(左から)酒田西高校1年 石山絢士(あやと)さん、遊佐町鳥海山ガイド協会 畠中裕之(はたなか ゆうし)さん、酒田西高校1年 富樫華音(かのん)さん

湧水って、どんな水?

雨や雪が降り、地中に浸み込んだものを地下水と呼びますが、それが再び地表に出てきたものが湧水です。外気温の影響を受けにくく、1年を通じて温度がほぼ一定であるという特徴があります。

ほぼ湧水100%の牛渡川。取材時は見ることができなかったが、水中に見える梅花藻が夏に小さな白い花を咲かせる様子がとても美しい。

水は、遊佐のどこに湧いている?

湧水という言葉から、登山の途中で山肌から湧き出ている水を飲むようなシーンをイメージするかもしれませんが、遊佐では町のさまざまな場所で湧水を見ることができます。町の中心部でも、少し歩けば整備された湧水スポットがいくつもありますし、よく観察すれば自噴井戸のある住居や店舗を見つけることもできます。もちろん山の中でも湧水をたくさん見ることができ、山肌から滝のように湧いている「胴腹滝」は湧水スポットしてよく知られ、水を汲みに遠方から通われている方も少なくありません。

山大農学部や東北芸工大、羽黒高校など、地域の若者たちとともに整備してきた遊歩道。

遊佐の湧水は、どこから やってくる?

メインとなる水源は鳥海山です。火山である鳥海山の地中には、溶岩が固まってできたゴロゴロの岩だらけで隙間が多い層があり、降り注いだ雨や雪がそこに蓄えられて、少しずつ下りながらさまざまな場所に湧き出ています。先ほどお話しした自噴井戸もそうですが、標高が高いところから流れてきているので、適切な位置にパイプを打ち込めば、動力を使わずに湧水を引くことができ、畑の散水に使っている農家さんもいるんですよ。

光の当たり方で表情を変える、水の色が美しい丸池様も湧水の恵みの1つ。

海の中にも、湧水が?

不思議に思うかもしれませんが、遊佐の海岸が鳥海山の標高0m地点だと考えると、納得できるんではないでしょうか。夏には海水浴客で賑わう釜磯は、よく知られる海中の湧水スポットの1つです。先ほどお話しした通り、湧水は温度がほぼ一定なので、夏は海水に比べてかなり冷たく、その気持ちよさを求めて訪れる人が少なくありません。また、海中の湧水は、遊佐の夏の味覚である岩ガキにとっても欠かせないものです。湧水の豊富なミネラル分がカキをおいしくするということがよく言われますが、水温の低さも味に大きく影響するそうです。カキは産卵すると味が落ちてしまいますが、遊佐の岩ガキは水温が低い湧水の影響で産卵期が遅く、旨味を維持したまま身を太らせることができると言われています。水温が高い場所にはすめないイバラトミヨという希少な魚が遊佐の川で見られるのも、秋に遡上してきた鮭の卵が孵化し、冬の間に仔魚・稚魚として着実に成長し春に海に出ていけるのも、水温が一定で夏冷たく冬温かく感じられる湧水のおかげなんです。

人の暮らしとの 関わりは?

釜磯から少し北に行った女鹿(めが)という集落の「神泉(かみこ)の水」は、まさに「暮らしの中の湧水」です。かつて水道がなかった時代には、貴重な真水の供給源として数十世帯の暮らしを支えました。限られた水を有効に使うため、湧水が流れ込む石の槽はいくつかの部屋に分けられ、上から飲み水、果物や野菜、貝などを冷やしたり洗ったりする水、食器を洗う水、洗濯をする水、農機具など汚れがひどい道具を洗う水、おしめを洗う水と用途が決められていて、そのルールは現在も生きています。鮭の孵化・放流事業は、海で鮭を捕る漁師さんだけでなく、農家さんの農閑期の貴重な収入源にもなっていますし、釜磯海水浴場や岩ガキは夏の観光誘客の柱です。産業面でも、湧水は大きな恵みをもたらしてくれていると思いますね。

畠中さんから皆さんへ

これを読んでいる高校生で、遊佐に遊びに来たことがない人、湧水のことを知らなかった人、たくさんいると思います。せっかく同じ庄内に住んでいるので、時間をつくってまずは遊びに来てみてほしいですね。そして、それをきっかけに、庄内のいろんなところに出かけて、いろんな庄内を体験してほしい。高校を卒業したら、進学や就職でどうしても庄内を離れなければいけないこともあるでしょうしね。今はピンと来ないかもしれませんが、「庄内のここがいい」をたくさん体験しておくことは、より豊かな将来につながっているんじゃないかと思っています。

取材後記

エメラルドのような水の色や、水温が冷たいため折れて水中に沈んでも何年も朽ちない木など、湧水が生み出した丸池様が神秘的でした。また、湧水と遊佐の暮らしや環境との関わりにとても興味が湧きました。
(石山)

釜磯海水浴場で、湧水スポットにハマりびしょ濡れになりましたが、とても涼しく夏に行けてよかったです。湧水という恵みを守るための人々の努力を知り、自分も地元のために何かできないかなと思いました。
(富樫)


「庄内ふむふむふむ」は 庄内2市3町「庄内広域行政組合」、 山形県庄内総合支庁が応援しています。
取材・編集・文=クレードル編集部、工藤拓也 / 写真=間真由美 / 協力=畠中裕之、酒田西高校 総合文化部文芸班


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この記事を書いた人

Cradle Editors

庄内の魅力を発信する、出羽庄内地域文化情報誌「Cradle(クレードル)」を隔月で発行。庄内に暮らし、庄内を愛してやまないメンバーたちの編集チームです。

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