イベント・お知らせ
庄内ふむふむふむ⑧
「国見山 玉川寺」
鶴岡工業高校 生徒取材
羽黒山の麓、境内に咲き誇る季節の花々の美しさから、 いつしか「花の寺」と呼ばれるようになった国見山玉川寺。 お寺の歴史や庭園の魅力、地域との関わり合いの 変遷について、斎藤住職に伺いました。
玉川寺って?
国見山玉川寺(ぎょくせんじ)は、鶴岡市の羽黒山の麓にある曹洞宗のお寺で、高麗国(朝鮮半島)出身の了然法明(りょうねんほうみょう)禅師によって1251年に開かれたと伝えられています。
当時は、出羽三山および周辺には多くのお寺がありましたが、明治初期の神仏分離政策によりその大部分がなくなってしまいました。そのような状況も乗り越えてきた長い歴史を持つお寺で、庭園は1987年に「国指定名勝」となりました。
国指定名勝って?
名勝とは文化財の1つで、芸術上または観賞上価値が高いとされる、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳など景観のこと。つまり、玉川寺の庭園は、保護すべき価値ある文化財として国に認定されたものだということです。1450年代につくられた後、1650年代に改修され現在の形になったそうですが、当時の技術でなければつくることができないものが随所に散りばめられています。
また、一般的な庭園よりも石灯籠(いしどうろう)が多く、当時この地域が裕福だったことを象徴していると考えられています。ちなみに、国指定名勝となっている県内の庭園は玉川寺庭園の他に、鶴岡市の酒井氏庭園、酒田市の總光寺庭園、本間氏別邸庭園(鶴舞園(かくぶえん))の3つで、すべてが庄内に存在しています。
「花の寺」とも呼ばれている?
春のサクラ、初夏のツツジ、クリンソウ、ハナショウブ、秋のハギ、シュウメイギクなど、四季折々の花が境内を彩る様子から、いつの間にかそのような別名が生まれたそうです。近年、温暖化の影響もあり数が減ってしまったそうですが、全国的にも珍しいクリンソウの群落も見ることができます。
お寺って、誰でも入れる?
お寺はもともと地域に開かれた場所で、1960年代頃から各地に公民館やコミュニティーセンターが建つ前は、地域の集まりなどにも使われていたそうです。たくさんの人に気軽に立ち寄ってもらえる場所であり続けたいという思いから、坐禅や写経、ヨガ、コンサートなど、玉川寺ではさまざまな取り組みを行っています。
2年ほど前にはカフェスペースもオープンし、女性を中心にたくさんの人が訪れているといいます。また、お寺は大人だけでなく、子どもたちにとっても遊び場として開かれてきましたが、敷地が広く斜面も多い玉川寺には、数こそ減ってしまったものの今でも地域の子どもたちが遊びに来るそうです。
高校生の皆さんへ
「先日、兼務で管理している別のお寺の改修の話し合いで、『あまり使われていないから本堂もいらないのではないか』という意見が出たときに、『書道教室で通った思い出の場所だから、なくさないでほしい』という地域の20代の方からの意見があり、壊さずに残すことに決めたということがありました。特に若い人たちからは敷居が高い場所と思われがちなお寺ですが、そんなことはなく、むしろこれからを生きる人たちの意見を取り入れていきたいと思っています」と斎藤住職。
玉川寺は禅宗の1つ、曹洞宗のお寺で、坐禅をとても大切にしています。「曹洞宗の坐禅は心の安らぎを得るために行うもので、未経験でも心配いりませんから、若い皆さんにもぜひ経験してもらいたいですね。もちろん、ただ庭を眺めるだけでもいいですし、気が向いたら足を運んでみてください」。
国見山 玉川寺
住所/山形県鶴岡市羽黒町玉川35
電話/0235-62-2746
https://www.gyokusenji.or.jp/
取材後記
坐禅も写経もお抹茶も普段なかなかできない貴重な体験で、坐禅は作法や意味も知ることができ、とても勉強になりました。自分を落ち着かせたいなと思ったとき、また、一番たくさん花が咲くという5月下旬にまた来てみたいです。(渡會)
「気軽に立ち入れない」と思っていたお寺が、子どもたちの遊び場だったという話を聞き驚くと同時に、裏山や庭を駆け回りながら、地域の大人たちとも交流できる毎日は、子どもたちにとってとてもいい時間だっただろうなと思いました。(髙橋)
「庄内ふむふむふむ」は 庄内2市3町「庄内広域行政組合」、 山形県庄内総合支庁が応援しています。
取材・編集・文=クレードル編集部、工藤拓也 / 取材写真=間真由美 / 協力=国見山 玉川寺、鶴岡工業高校
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