食・食文化
庄内いいかも! 2
加茂水産高校 & 滝川蒲鉾 & 慶應先端研
[取材校 鶴岡工業高校]
手軽に食べられて、筋力アップをサポート。一風変わったコンセプトのかまぼこが、鶴岡市の高校・民間企業・研究機関の連携により誕生しました。完成までの経緯やプロジェクトにかける思いについて伺いました。

きんかまって?
加茂水産高校生が、慶應義塾大学先端生命科学研究所、有限会社竜泉・滝川 滝川蒲鉾店と共同で開発したスティックかまぼこ「筋肉かまぼこ」のこと。「部活動の合間に手軽に食べられて、筋力アップにもつながるものがほしい。そんな水産加工品がつくれないだろうか」という同校相撲部員の一言をきっかけに、2025年に開発プロジェクトがスタートしました。




かまぼこで、筋力アップ?
開発にあたり管理栄養士から講義を受け、かまぼこには筋肉をつくるのに不可欠なタンパク質が豊富であること、タンパク質の構成要素であるアミノ酸のうち、体内で合成できないため食事から摂取する必要がある「必須アミノ酸」がバランスよく含まれていることが判明。「筋力アップ」×「水産加工品」の実現可能性が高いことが確認できたことが、プロジェクトに弾みをつけてくれたといいます。


どんな味がある?
現在販売されているのは、「カルパッチョ味」「しそカリ梅味」「明太チーズ味」「ココアナッツ味」「抹茶あずき味」の計5種類。アイデア出しの段階で50種近くあったものを20種に絞り込み試作を行い、最終的に5種に絞り込みました。味だけではなく、栄養面や製造のしやすさ、価格面なども考慮して5種を選ぶにあたり、慶應先端研小倉さんと滝川さん、2人のプロの力が不可欠だったといいます。
「例えば、しそカリ梅味に疲労回復をサポートするクエン酸やリンゴ酸が含まれていることなど、うま味成分だけではなく、商品特性に合った栄養成分についても提示することで、意思決定をサポートできたかなと思っています」と小倉さん。慶應先端研が誇る、数千種にも及ぶ成分を短時間で分析できる「メタボローム解析」技術を使って、主に食品の成分分析・研究をされています。
製造方法や価格を抑えるための原料選びには、鶴岡の老舗「滝川蒲鉾」の技術と目利きが大きな力になりました。「どの味も、高校生の自由な発想ならではのもので、私たちかまぼこ屋には考えられないものでした。だから、なんとしても商品として販売できる形にしてあげたかったんですよね」。


プロジェクトを振り返って。
さまざまな方のサポートを得て商品は無事完成、プロジェクト開始から約1年後の2026年5月に発売となりました。3人のメンバーにプロジェクトを振り返ってもらいました。「みんなで話し合い、試作をしながらどんな味にするか決めていくところがおもしろかったです。梅干しがあまり得意じゃないんですが、きんかまのしそカリ梅味はおいしく食べられるという発見もありました」と阿部さん。「新規性のある商品をゼロからつくることは、大変なこともありましたがとてもおもしろかったです。東京の大学に通っている姉が、帰省したときに食べて『おいしい』と言ってくれたことがうれしかったですね」と石橋さん。「抹茶あずき味は、僕がアイデアを出したんですが、試作段階ではなかなか固まらずにとても苦労したんです。でも、滝川さんに協力していただきながら完成させることができ、諦めずに挑戦し続けて本当によかったなと思います」と渡部さん。みなさんの晴れやかな顔から、大きな達成感を得られたことがわかりました。

きんかまの、これから。
プロジェクトも2年目に入り、現在は新しい味の開発に挑戦中の3人。「卒業までに、試作中の味も完成させて、後輩たちに引き継いでいきたいと考えています。若い世代の魚食離れが話題ですが、きんかまを通じて、魚を好きになってくれる人が増えていくといいなと思っています」と今後の展望を話してくれました。「地域の企業と高校生の連携というのは結構あるんですが、そこに私たち大学のような研究機関が入ることは珍しく、教育的意義も大きいので、今後も継続していきたいですね」と小倉さん。「高校生のアイデアを地域全体で支えて形にしていく、とてもいい取り組みだと思っています。今後の展開も楽しみですね」と滝川さん。新たな動きも楽しみな、きんかま。みなさんもぜひ、1度食べてみてくださいね!


取材後記

アイデアを商品として販売するまでには、さまざまな工夫や努力が必要なことを知りました。また、同じ庄内の高校生が企業や大学と連携して商品開発に取り組んでいることを知り驚きました。(今野)
開発の過程で、1週間ほど船に乗る実習を行ったという話が印象的でした。きんかまが、より多くの人が魚を好きになり、加茂水産高校の魅力を知るきっかけになるといいなと思いました。(向井)
「庄内いいかも!」は 庄内2市3町「庄内広域行政組合」、 山形県庄内総合支庁が応援しています。
取材・編集・文=クレードル編集部、工藤拓也 / 写真=間真由美 / 協力=加茂水産高校、鶴岡工業高校、有限会社竜泉・滝川 滝川蒲鉾店、慶應義塾大学先端生命科学研究所
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