暮らし・ライフスタイル
町の魅力、若者視点で伝えていきたい。
なんでもバザールあっでば 鈴木碧(みどり)さん
幅広い仕事の中で見つける楽しみ
「最初の頃は庄内弁を聞き取りにくくてちょっと大変でしたけど、今では私自身自然と庄内弁で話すことが多くなりました」朗らかな笑顔で答えてくれたのは、「なんでもバザールあっでば」の広報を勤める鈴木さん。
「なんでもバザールあっでば」は庄内町の第三セクターで町づくり会社イグゼあまるめが運営する産直です。庄内町新産業創造館クラッセがJR余目駅前に開設したのを機に2014年春にオープン。
鶴岡市出身の鈴木さんは新卒採用でオープン以来6年、生産者と消費者を繋ぐ役割を担ってきました。大学時代は関東に暮らし、しばらく庄内を離れていたせいもあって働きはじめの頃は日常的に繰り広げられる庄内弁会話が少し聞き取りにくいこともあったのだとか。
「方言で話す方がお客様により親しみを持ってもらえる気がするんです」。案外Uターン者に多いのが敬語を方言化することの難しさ。これが絶妙に変換しにくいこともある中、鈴木さんは仕事用会話の庄内弁もしっかりとマスターしているようです。
広報といえば一般的に宣伝活動が主ですが、鈴木さんの担当分野は多岐に渡ります。2019年度は庄内町商工会が事務局を務める「一店逸品」用の商品企画を担当しました。
「一店逸品」とは1年を通して各店同士が意見を出し合い一押しの逸品をエントリー。商品のPRと共に即売会などの関連行事などを行い、商店街の活性化を図る取り組みのことです。また商品やサービスを掲載した冊子を庄内町内全戸に配布、地元誌などにも掲載することで新たな購買客の拡大に励んでいます。
鈴木さんが企画した商品は完全オリジナルの「わかば餃子」。庄内町産のベビーリーフや山形を代表する花・紅花のべビーリーフを混ぜ込むなど、餃子のポテンシャルはここまで活きるのね!と再発見の商品。
実際そのお味はむっちりとした皮で包んだジューシーな肉の餡にさっぱり野菜があわさってとっても美味!。完全オリジナルなので現在はお店と、ふるさと納税の返礼品でしか手に入らない隠れた名品です。
わかば餃子は12個入りで630円(税別)
また同じく庄内町商工会が主催している「まちゼミ」にも参加しています。活動内容はお店の人が一般の人向けに開催するワークショップで、鈴木さんは講師として登壇。
「なんでもバザールあっでばとしてはラッピング講座を開催しました。お店でもプレゼント用にお包みができるんだよと言うPRになりましたし、教えることで自分も改めて学びを深めることができ、勉強になることが多かったです。4名定員なので講座に来た方と仲良くなりやすいという点も楽しかったですね」
と、6年たった今でも「初心」に立ち返るような仕事をハツラツとこなしています。
若い世代代表として庄内をPRしていきたい
鈴木さんは産直で働いてから、採れたての新鮮な野菜を日々手にすることや直接生産者の方と接することで商品に対しての愛着度も変わったと言います。
「この野菜はあのひとが作っていると思うと安心感も増しますし、珍しい野菜を見かけるのもおもしろいんですよ。扱ったことのない野菜は調理法を調べて食べ方を紹介するPOPを作るなどの工夫もしています」と、積極的に店内の魅力を発信しています。
年に数回東京都内で町のPRのため催事イベントなどを行なっていますが、今後は若い目線で町や庄内のことをよりPRしていきたいと意気込んでいます。「どうしても若い人は都会に目を向けがちですが、私が住んで感じる魅力を同世代の人たちにも伝えていきたい。そのためにもイベントごとには積極的に参加していきたいと思っています」
ベテランの農家さんが作る美味しい野菜や加工品を、鈴木さんのようにフレッシュな視点でPRする。そんな風に世代や仕事の垣根を越えてお付き合いできる関係性が新しい町づくりの秘訣なのかも。鈴木さんの活躍をみてふとそんなことを思いました。
「あっでば」は庄内弁で、「ありますよ!」や「あるよ!」という意味。
田舎ならではの魅力が「いっぱいあるよ!」と豊富にそろうお店で、季節ごとの野菜や多種多様な加工品などの新しい商品を見つけるのも楽しい買い物のひととき。
これからどんな商品や展開が待っているのか、鈴木さんの今後の活躍も楽しみにしながらお店をあとにしました。
DATA
なんでもバザールあっでば
山形県東田川郡庄内町余目字沢田108-1(新産業創造館クラッセ内)
営業時間:9:00〜18:00
定休日:元旦のみ
Tel:0234-42-1777