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【連載】京オンナの遊佐町暮らし⑤
恥ずかしながら、28歳になるまで知らなかったこと。

暮らし・ライフスタイル

【連載】京オンナの遊佐町暮らし⑤
恥ずかしながら、28歳になるまで知らなかったこと。

2020/11/11

秋になるとどこかしらで出会う、ギンナンの香り。
でも、イチョウの木の下でギンナンの香りがしても、「ギンナンどこや?殻見当たらへんなあ。それにしてもクサい…。」と幼い頃からずっと思っていました。

そうして月日は流れ、私は28歳になりました。
先日、旦那さんが「これは熊との闘いだ…。」とブツブツ言いながらクルミを拾いにいくと言ったので、私もついて行きました。
「よ~し、詰められるだけ詰めちゃって~」と言うと、彼は黒いふにゃふにゃした丸いものを拾い始めました。

こんなかんじです。
も、もしかしてこれがクルミなん…!?と半信半疑のまま大量の黒い丸をかき集めました。数日間そのまま寝かしておいて、実を腐らせるそうです。

それから数週間が経ち、その間に鳥海山は初冠雪を迎えました。(10月17日)

あくる日、次の工程を行うというのでついていくと、おもむろに木製の機械へ黒い実を入れ始めました。

こちらは、腐った皮や実をむく『お義父さん特製皮むき器』だそうです!
当初は里芋の皮をむくためにつくったそうなのですが、なんでもむけちゃう優れもの。(すごい!)

この皮むき器の中に黒い実を入れて、しっかり蓋をします。

それを家の近くにある側溝に入れます。旦那さんの実家は少し山手にあるので、側溝の水は比較的きれいです。

すると水の流れる力で機械がくるくると回り出しました。この摩擦で皮がむけるそうです。

10分ほど経ち見に行くと、カラカラカラという音がしていました。明らかに最初と違う軽やかな音でした。
蓋を外してみると…。

クルミになっているーーーーー!!

特製皮むき器に入れるだけで、黒いふにゃふにゃがクルミに…。こうやってクルミってできているのか!と感動していたのも束の間、「ギンナンも拾いいぐが?」と言われたので、ついて行きました。

車で少し移動したところにある、旦那さんのお家のイチョウの木です。近寄るとギンナン独特の匂いが…。

見渡すと黄色いぐちゅぐちゅした実がたくさん落ちていました。

もしや、またこれを拾えというのか…!?などと考えているうちに黙々と拾い出す旦那さん。

拾っても拾っても、終わりの見えない戦い…。この日は地域のお祭りのスタッフをしてほろ酔いだったので、クラクラしながら実を拾いまくりました。

↑地面に落ちていない実はこんな感じでした。

ただひたすらに拾い続け、数分後。ものすごい量の実を拾い集めました。

こちらも、特製皮むき器に入れて皮をむこうとしましたが、ちょっと腐らせないとダメみたいでした。でも、私のイメージしていたギンナンになっています。

この日はここまでで、数日後皮をむくことができました。剥きたてほやほやのギンナンは、レンジで加熱して殻をむき、アツアツのおでんに入れて食べました。とっても美味でした。

恥ずかしながら、クルミやギンナンがこうして私たちの胃袋に入っていくということを、初めて学びました。京都で暮らしている時に感じていた、ものの成り立ちを知らない違和感的なものが、庄内に住むと少しずつ解消されていきます。これを丁寧な暮らしというのでしょうか。

最後はもうすぐ旬のキウイに見とれたので、パシャリ。
ほんっとうに、庄内の暮らしは豊かですね。今日も幸せです。


Oriori Japan ~ヴィンテージ着物/織物プロダクト制作
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この記事を書いた人

Kanna Fujikawa

遊佐町在住。庄内に初めて訪れてから半月で移住を決めた京オンナ。趣味は何日間いただき物だけでご飯を作れるか、耐久レースをすること。「あの人って楽しそう」と言われたり「毎日幸せだなあ」って思う人が世界に溢れたらいいなと思ってる、酒好きオンナ。「Oriori Japan」代表。

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