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2019.2.21 ジャムセッション in ChiC

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2019.2.21 ジャムセッション in ChiC

2019/07/01

まちなかでJAZZを楽しむ!

立春を過ぎたとはいえ、2月の庄内の夜はまだ寒い。そんな夜、鶴岡の銀座通りにある素敵なバー ChiCを目指した。駅方面から銀座通りを進んでしばらくすると、ちょっと素敵な扉が見えてきた。少し重い扉を開ける。丁度これからセッションが始まるところだった。今日のホストは鶴岡に移住してきたベースの若林美佐、そして酒田出身で東京を中心に活躍するドラムの高橋徹の二人。そこに庄内のミュージシャンが加わる。早速素敵なメロディーがリズムよく流れてきた。

プロに交じり、地元ミュージシャンが参加しセッション

テナーサックス、ピアノ、ギター、ヴォーカル、そしてベース、ドラムも演奏者が加わったり、入れ替わったりしながら楽しいセッションが繰り広げられる。今日の地元ミュージシャンは10人ほどで、20代の若手から70代のシニアまで自分の出番を今かと待ち受ける。

数曲の演奏を終え、地元ミュージシャンと交代した高橋徹さんに聞いた。

「若林美佐さんは関西で活躍したころからよく知っている。そんな彼女が自分の出身の庄内に移住し、地元のミュージシャンと交流し演奏していることに驚いているし、とてもうれしい。地元ミュージシャンがこんなに多いのもビックリだ。最近ジャズは聴くよりもやる方が楽しいとセッションに参加する人が増えているが、庄内でこういうセッションが行われているのはすごくうれしい。また自分も時々帰ってきて参加したい」。

「何か、NYっぽい!、雑多な感じがいい」

若林美佐さんにも聞いてみた。
「何も楽譜を持たないで曲を知っていれば誰でも演奏に参加出来て、初めての人同士でも楽しめるし、プロが入るとまたその場が引き締まる。聴く方にとっても、プロとアマが一緒の演奏を楽しめ、プロ同士の演奏はまた違って感じれる。東京のセッションでは一般の人はこんなに多く聴きに来ない。地域でジャムセッションが盛り上がっていけばいいと思う。

こういう場を提供してくれるお店があることが大きい。しかも感じのいい店だからいっぱい来てくれる。何かすごくニューヨークっぽいです。こういう雑多な感じがいいし、ウィスキーやカクテルもあり飲みながら楽しめるのがいい」。

バーカウンターに座り、素敵な演奏に聴き入る人、体でリズムを刻む人、ソロプレイが終わるたびに拍手が沸き、熱い空気が流れる。

お代わりをオーダー、渇いた喉を潤す。

「日常的にジャズを演奏し、そして聴く場があるのがいい」

セッション中盤から、テナーサックスの松本健一さんが加わった。
彼も庄内に移住してきたプロジャズマンだ。
プロ3人が揃った演奏はやはり響きが違う。会場は興奮に包まれていく。

松本健一さんは
「日常的にこういう場があるのはすごくいいこと。単に経済的にというより、生きがい、楽しみが生まれる。全く違う職業の人が一緒に演奏している。農業しながらジャズをやっている人も多いしとてもいい。自分で出来ることをやっていきたい。あまり急がずのんびりやりたい」と語った。

セッションに参加しているドラムの工藤夕佳さんに聞いた。
「プロのみなさんと一緒に演奏できるのはとても貴重な機会です。刺激を受けインスピレーションも湧きます。いつもはロックをやってるんですが久々にジャズをやるとやはりいいし楽しいです。ジャムセッションは素敵な場で大人の楽しみ方だと感じます」。

いつもは演奏に参加しているが、今日は聴き役だという開業医の山内仁紫さんにも聞いた。
「東京から戻って来たんだけど、鶴岡に来てジャズなんか聴けないと思っていたから、もうびっくりしている。しかも自分も演奏に参加できるなんて思ってもいなかった。楽しいし、最高。自分で一生懸命練習して来ててもアマチュアは発表の場がない。だからこういう場があるのはとてもうれしい」。

演奏メンバーが替わりながらセッションが熱く続く。
鶴岡市役所職員でもある有地裕之さんのピアノはいつも素敵だ。軽やかなタッチが流れる。

「お酒とJAZZ、生演奏は最高!」

カウンターでジャズを楽しんでいる男性にも聞いてみた。
「地元ですぐ近くに住んでいるが、先々月初めて聴いて素晴らしいと思い、今日あると聞いてまた来た。若林さんのベースが素晴らしい。ジャズはそんなによくわからないし素人なんだけど好きで来ている」。

奥のカウンターの女性二人にも聞いた。
「気軽にジャズを聴けるのがいい。お酒には音楽、特にこの雰囲気だとジャズがいい」。
「街中で飲みながらジャズの生演奏を聴けるのがいい。やっぱり生は最高!」

マスターの鈴木克人さんがつくる美味しいカクテルが、とてもジャズに合う。
鈴木さんは鶴岡のジャズシーンはもっと面白くなると、ジャズを聴ける場の提供に努める。

地元女性のヴォーカル、加茂水族館館長のベース

セッション後半に入って、酒田から小林加津子さんが駆け付け、女性ヴォーカルとして素敵な歌声を響かせた。

「ジャズを歌いたかった訳ではなかったが、生の演奏を聴きに行ったとき、今度女性ヴォーカルがいなくなるから歌ってみないかと声を掛けられたのがきっかけ。今こうして歌えているのはもの凄く楽しい。普段は誰も体験できないような、プロのジャズメンをバックに歌えるのは素晴らしいこと。勉強している瞬間も楽しいし、こうした場があることがとてもありがたい」と小林さん。

クラゲの水族館として人気の加茂水族館館長の奥泉和也さんは、今日もベースで演奏に参加している。

「こういう場が増えれば、庄内も楽しくなる。演奏する人も聴く人も楽しめばいい。演奏する人に若い人が増えるともっとうれしい」と語る奥泉さん。加茂水族館でもクラゲの大水槽の前で、定期的にジャズコンサートが開かれている。

途中休憩を挟みながらも、素敵な演奏はプレイヤーが入れ替わりながら繰り広げられ、熱気に包まれ夜が更けていく。

ギターを演奏するのは若林さんのご主人佐藤雄志さん、東京六本木の「サテンドール」で店長をしていた時に若林さんと知り合った。鶴岡出身のご主人が帰郷するのに合わせ若林さんも鶴岡に移住した。二人の演奏はとても熱く、やんやの喝采を浴びた。

素敵な演奏に、「アンコール!」が響

今夜のラストは、ホストの若林さんと高橋さんのデュオ。
素敵な演奏にアンコールの声が大きく響いた。
「セッションでアンコールなんて初めて!」と、若林さん。
アンコール演奏に酔いしれ、なごりを惜しみながら素敵な時間は幕となった。

鶴岡だけでなく、いま庄内では酒田でもいろんなスポットでジャムセッションが開かれている。ジャズを愛し庄内でずっと頑張ってきた地元ミュージシャン、そこに3人のプロジャズメンが加わり、そして若いプレーヤーも参加し、熱いセッションが展開される。

ジャズが身近に楽しめる街、そんな街が庄内にある。とても楽しく心充ちるひと時だった。

(写真・文=小林好雄)

BAR ChiC
山形県鶴岡市本町1丁目8-44
営業時間/19:00~3:00
定休日/日曜日
Tel. 0235-22-4958

この記事は地域情報誌クレードルの下記の号に関連した内容です。

2019年3月号

特集:この素晴らしきジャズの世界

この記事を書いた人

Kobayashi Yoshio

株式会社出羽庄内地域デザイン代表取締役。地域文化情報誌「クレードル」編集長として自らツアーガイドも務める庄内の魅力発掘請負人。

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