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2019.12.11Cradleコンサート 「谷川俊太郎を歌う、谷川俊太郎を弾く」好評に終えました

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2019.12.11Cradleコンサート 「谷川俊太郎を歌う、谷川俊太郎を弾く」好評に終えました

2020/01/07

「やぁ良かったね」、「久しぶりにいい音楽を聴けた」、「最後は涙が出てきた」……。コンサートを聴き終わり家路に向かうみなさんからうれしい声が聞こえる。第1回のCradleコンサートはおかげさまで素敵なコンサートとなった。

12月11日、快晴の天気となり、庄内空港に小室等さん、谷川賢作さんを迎えに向かう。小室さんとは7月以来、そして谷川さんとは8年ぶりくらいの再会となる。出口からお二人の顔が見え、固く握手し再会を祝う。まず宿泊先のスイデンテラスに向かい、雪を被った月山を見ながらランチ。そして会場の庄内町文化創造館「響ホール」へ。

早速、二人は演奏会場のホールを確認に行きます。「いいホールだね」、「音響もよさそうだね」、「スタインウェイのフルコンがいい音出しそう」。
そして少し休憩の後、リハーサルへ。

まず、音響担当のサンセットスタジオ早坂実さんと実際に音を出しながら綿密に摺り合わせ。それから準備した曲目に入る。二人でのデュオは久しぶりとのことで、しばらくやっていなかった曲から始まった。「そこのコードはDm7ではどう?」、「そこの入り方は少しゆっくり…」など、長年一緒にやってきて息の合った二人ならではの調整が続く。

このリハーサルの様子を確認している時は主催者にとって至福の時間だ。500席の大ホールで聴いているのは音響スタッフと企画スタッフの数名だけ。小室さんの歌とギター、谷川さんのピアノ、その絡み合い、素敵な音色にうっとりと時間が流れる。「よし、大体いいかな」、小室さんの声で、リハーサルは終了。開演時間まで楽屋でそれぞれ準備となる。

17時、開場まであと1時間、受付準備をしていると、もう数名のお客さんが入ってきた。

「自由席だけど十分に席はあるから大丈夫ですよ」と言っても、「いや、いい席に座りたいから」と列を作って待ってくれる。18時、いよいよ開場時間となるころにはもう30名ほどが並んでいた。受付開始、続々とコンサートを楽しみにしていたみなさんが訪れてくれる。

18時半、お二人、そして谷川俊太郎さんが作詞、作曲をした校歌、学生歌がある鳥海小学校、酒田第六中学校の校長先生、東北公益文科大学の学科長が挨拶に見えられ楽屋に案内。

生徒たちが大事に歌っているなどの話にお二人ともとてもうれしそう。

開演10分前、会場を見てみると既に席はかなり埋まっている。そっと胸をなでおろす。

19時いよいよ開演、小室さんの挨拶でコンサートは始まった。「谷川俊太郎を歌う、谷川俊太郎を弾く」のタイトルに沿い、「木を植える」からスタートし、谷川俊太郎作詞、小室等作曲、或いは谷川賢作作曲の曲が続いていく。

一昨年発売された「プロテストソング2」からが中心だが、谷川俊太郎の詩は、声高に反抗を叫ばない。むしろ静かに人として大事にしていきたいものを語りかける。その詩に小室等が、谷川賢作が素敵なメロディーを付け、小室の歌、ギター、そして賢作のピアノが心に響く音色を奏でる。じわっと熱いものが体の中を流れていく。

そして今度は賢作が、父俊太郎作詞、賢作作曲の「さようなら」を弾き語りで歌い始めた。途中から小室の歌が入り、最後はまた賢作に戻った。この歌もとてもいいし、賢作の歌も素敵だ。

賢作が、父俊太郎のエピソードを面白く語る。賢作の話はなかなか終わらない。タイミングよく小室が話に入り、次の歌へと進む。小室は俊太郎も含め3人が作った酒田の3つの学校の校歌、学生歌のことを語り始めた。今も生徒たちが大事に歌い継いでくれていることにうれしさがにじむ。賢作も語る、二人の話はあたたかくアットホームだ。

小室の歌声はのびやかに響き76歳の年齢を感じさせない。そしてそのギターが素敵な音を紡ぐ。そこに賢作のピアノが心地よく鳴り響く。賢作がほめていた「響ホール」のスタインウェイピアノがホールと調和し美しく心に届く。

最後は、アンコールにこたえ、往年のヒット曲「出発の歌」。小室は自らの歌声を抑え、会場のみんなに歌を呼びかける。次第に会場は大きな歌声に包まれていった。

名残惜しくホールを出てくるみなさんが、「やぁ良かったね」、「久しぶりにいい音楽を聴けた」、「最後は涙が出てきた」………と、語り掛けてくれる。とてもうれしい。

谷川俊太郎は、自身がプロデュースした小室等と谷川賢作のCD「NO GOOD WITHOUT YOU」のジャケット奥書「やさしさの定義」でこう書いている。「小室さんの歌は若いころよりずっとやさしくなっている、………ピアノの音もまた、キーに触れる指のやさしさによって、歌声と響き合っています」。やさしさは長い間の人生経験が知らず知らずのうちに培ったものだとも書いている。小室等、谷川賢作の優しさが紡ぐ音色に包まれた2時間、とても幸せな時間となった。

公演終了後、鶴岡駅前の「ジュールファスト」で打上げ、マスターの土屋さんが庄内の食材を美味しく提供してくれ、大盛り上がり。

採れたてのハタハタのフリット、アクアパッツァにお二人も大満足、ワインも進んだ。

翌日は、ホテルに迎えに行き、「キッズドームソライ」、「藤沢周平記念館」、「庄内藩校致道館」を案内、お二人ともとても興味深く見られていた。お昼に庄内空港に。悪天候で心配されたフライトも、少し遅れたが飛び立ち、帰路についた。

初めてのCradleコンサートだったが、おかげさまで二人の演奏に酔いしれる素敵な時間となった。コンサート後のみなさんから寄せられた感想が私たちを励ましてくれる。

「大都市でも、中都市でもないけれど、いい音楽を生で聴き素敵な時間に浸りたい」。この思いに応えれるように、これからもいい企画をし、コンサートを行っていきたいと思う。

「こんなコンサートを企画してほしい」など、ご要望がありましたらお寄せください。

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この記事を書いた人

Kobayashi Yoshio

株式会社出羽庄内地域デザイン代表取締役。地域文化情報誌「クレードル」編集長として自らツアーガイドも務める庄内の魅力発掘請負人。

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