【連載】離島メガネ⑤ 漂着物
漂着した漁業用のウキ 海が荒れる前は、雲が消え去り大げさなくらい青い空が広がる。島から見る鳥海山は山裾の端っこまではっきりとしており、地形をそのままなぞっていくと風車や建物が見える。夜には灯台の明かりや自動車のライトまで確認できることがある。 本土がよく見えたら時化る 風が吹き始めると海面は盛り上が …
【連載】離島メガネ④ リモート・アイランド
海上から飛島を望む 先日、飛島でオンラインイベントを開催した。里帰りした飛島で島民と共に地域に伝わる伝説の秘密を解いていくというストーリーで、参加者はパソコンやスマートフォンなどの端末で好きな場所から参加できる。録画は使わず全てライブ配信だったので、台本づくり、カメラの切り替え、BGMの選定など、まるで簡易的な …
【連載】離島メガネ③ トビシマカンゾウのまわり
トビシマカンゾウの正面 飛島には、食べられる花がある。そう聞いても山形県内では、「もってのほか」という食用菊が郷土料理として親しまれてきたし、一般的に食べられるブロッコリーやカリフラワーも花を食べているので驚くような話ではないかもしれない。しかし、エディブルフラワー(食べられる花)というジャンルがあるくらいなの …
【連載】離島メガネ② アラメのリズム
アラメを積んだ船 ガシャンガシャンと歯切れのよいリズムが聞こえてくれば、アラメ漁の時季がやってきた知らせだ。飛島でいうアラメとは、正式にはツルアラメのことで、日本海に生育している海藻である。ワカメが漢字で「若布」と書くのに対して、アラメは「荒布」と書く。その名のように表面がでこぼこした形状をしている。 ア …
【連載】離島メガネ① 祝詞が止まった
西海岸を望む 「島に住んでいるのですか」と驚かれた後には必ず、「どんな暮らしですか」と続く。さて、どんな面白い返答ができるだろうか、と考えてみるが最近はなかなか思い浮かばない。きっと本土にはない非日常な経験を期待されているのだから、私の発見した新鮮な体験をそのまま伝えれば良いのだろう。しかし、飛島に暮らして過ご …
【連載】離島メガネ⑥ 貝をひろい食べる
茹でたグッチョ 島には「グッチョ」という貝がいる。磯の岩陰に生息している一円玉くらいの大きさの巻貝である。グッチョというのは総称で、マグッチョ(コシダカガンガラ)、タカグッチョ(オオコシダカガンガラ)、アオグッチョ(イシダタミガイ)という種類がある。出荷されて市場に出回ることはほとんどないので、基本的に島民だけ …